熊本の岡本賢明の今季限りでの引退が発表された。小学1年生から高校卒業までをともに過ごした神戸MF三原雅俊は「電話で連絡を受けた。ショックだったし、寂しかった。サッカーをしていない姿を想像できない」と率直な気持ちを打ち明けた。
出会いは熊本県の少年サッカークラブ、ブレイズ熊本。小学1年生当時から岡本は際立っていたという三原。「こっちのゴールラインから一人で5~6人抜いてゴールを決める。僕らは見ているだけ。めちゃくちゃうまかった」。小学校を卒業すると、二人は共学になったばかりのルーテル学院中の1期生となり、そのまま同高等学校に進んだ。
チームメートとして過ごしたのは12年間。三原は「主将で、10番で、司令塔。アイツはずっと僕らのキャプテンだった。みんなの憧れでしたね」と話す。高校卒業後、岡本は札幌、三原は神戸、さらに他の同級生3人もプロの道に進んでいる。
14年シーズンから地元・熊本のロアッソに加入した岡本は、昨年発生した熊本地震に際しては、支援活動を引っ張った。「昔からそういうタイプ。リーダーシップがあって、周りを盛り上げるのがうまい。震災で困っている人たちも多い中で、先頭に立ってそれができる人」。岡本の誘いを受け、三原はサッカースクールで地元の少年たちと触れ合った。
ただ、三原には、一つの心残りがあるという。「ユニフォーム交換してないんですよね。『いつでもいいか』って感じだったかも。いまからじゃもう遅い。予約で埋まってるでしょうね」と苦笑い。それでも、札幌と神戸がノエスタで戦った際、岡本は芸術的なロングシュートを決めているが、「あれはすごかった」と、チームメートとして、好敵手として見た岡本の雄姿が色褪せることはない。
シーズンオフには決まって旧交を温め合う二人。ここ数年、負傷を抱えていたという岡本を見つめてきた三原は「けがが大丈夫なら戻ってきてほしい。カッサーノみたいに」と″悪童″の異名で知られた元イタリア代表の名前を上げ、笑顔で寂しさを振り払い、「試合に出て、ゴールを決めてほしいですね」との願望も。旧友の現役生活を最後まで見守りたい心境を語っていた。
写真:小野慶太
(神戸担当 小野慶太)
2017/11/07 10:22