前節・熊本戦が、リーグ戦では第13節以来の先発出場となった山形の松岡亮輔。「自分の出せるものはすべて出したつもり」。試合でベストを尽くした様子で、「負けましたけど、やっぱり公式戦というのは非常に楽しいですし、本当に観客の前でプレーするというのがJリーガーの醍醐味」と久しぶりの感触は刺激になったようだ。
その松岡はベンチメンバー外だった3節前のホーム・京都戦の終了後、スタジアムがある運動公園の正門に立ち、家路につくサポーターを最後の一人まで見送っている。
試合終了後、ベンチメンバー外の選手はスタジアムからクラブハウスへ歩いて戻る。その途中、これまでも募金活動のブース脇でサインに応じながら見送りをしたことがあったそうだが、見送りを主目的とするのは初めてだったそうだ。ただし、事前に予定していたわけでも、ドローの結果を受けて決意したわけでもなく、「そのときの雰囲気とか客足の流れを見て」(松岡)、そうすることに決めたとのこと。周囲の状況を読む鋭さはピッチの中と同じだ。また、途中で切り上げたりしないのは「やり出したら楽しくなってきて、最後までいっちゃえーと思って…て感じですよ、いつも」。松岡持ち前のサービス精神で、試合結果のストレスをやわらげてもらったサポーターがどれほどいたことか。
今年、試合に絡む機会が少ないのは、夏場にひざの不調で長期離脱を経験したことも要因だった。「引退」の文字が浮かんだとも言うが、いまは「少しでも長く試合したいとか、現役でいたいという思いがより強くなった」と話す。「今年に関してはあまり出番はないですけど、モチベーションとか練習の意識とかは衰えてない。そこは自信がありますね」。揺るがないプライドを胸に、次の出場へ向けて準備を続けている。
(山形担当 佐藤円)
2017/09/29 21:02