9月24日のJ2第34節で長崎戦に敗れた千葉はJ1昇格プレーオフ圏まで勝ち点差が『8』に開き、目標のJ1昇格へ土俵際に追い込まれた。この窮地を救う原動力となるのは、ベテランの経験値や胆力という安易な言葉で片付けてしまいがちだが、その考えを佐藤勇人に投げかけると、対局の答えが返ってきた。
「よくそうゆう話を頂くが、はっきり言うと、自分が若いときは上の人を頼っていなかったし、若いなりに責任を持ってプレーしていた。『自分がこのクラブを優勝に導こう』とか、『日本代表に入ろう』とか、野心を持っていた。いまのJ1の強いチーム、例えば鹿島も若い選手がそうゆうメンタルを持ってプレーしている。日本に限らず、海外もそうだが、年齢に関係なく、どれだけ(いまの)サッカー人生に懸けられるかがその先を変える。17歳だろうと、個人的にはそこは持っていてほしい」
強いチームというのは若手の強烈な個性や突き上げの上に成り立っている。そしてそれを補完するのが長いキャリアで培った優れた戦術眼や展開を読む力を持つベテラン。将来性豊かな若手と元日本代表クラスのベテランの融合という観点でいまのJ1の上位を見ても、当てハマるチームがいくつもある。
「チームが上にいくにはそれが一番早いし、そうあるべきだと思う」。個々が自分の役割に徹した上で、上昇志向の強い若い個性が加わったとき、チームは加速度的に成長曲線を描くというのだ。
一方、千葉に目を向ければ、まだその域には達していないのが現状だ。だからと言って、J1昇格をあきらめたわけではない。
「最初の目標とはもちろん違うが、現実的にはどんな状況でも(J1昇格)プレーオフを目指さなければならないのは変わらない。可能性として難しくなり、『じゃあやめよう』となると、クラブとしてもその先はない。可能性が1%でもある限り、そこは目指さないと」
千葉のバンディエラは強い自尊心と覚悟を持って残り8試合を戦っていく。
(千葉担当 大林洋平)
2017/09/28 18:45