自分の特徴を生かしてプレーするということが前提だ。ただ、それだけではない。そのプレーには“メッセージ”がついていた。
そのメッセージの“送り主”は浦和の最年長、38歳の平川忠亮(写真右)。ルヴァンカップ準々決勝第2戦のC大阪戦。平川は先発出場すると、武藤のゴールをアシスト。チームはアウェイゴールの差で大会を去ったが、平川は今季二度目の公式戦フル出場で十分な存在感を見せた。
堀孝史監督就任以降、全試合にベンチ入りしていた平川は、より近くで試合を見ることで「クロスが少ない」と感じていた。「良いタイミング、良い形でいろいろなクロスを入れたいというイメージがあった。ドリブルでしかけていくだけがすべてではない。敵が戻り切る前にクロスを上げていくのは一つの形」。その狙いが得点を生んだ。
9日のJ1第25節・柏戦で堀監督が採用した[4-1-4-1]は平川の本職であるSBがあるフォーメーション。出場機会はさらに増える可能性があるだろうし、「役割のイメージはできている」。ただ、「もっと試合に出たいという気持ちはあるけど、それだけではない」と言い切る。
それはなぜか。「若いやつらも出てこないとチームは強くなっていかない」と考えるからからだ。
たとえば同じ右サイドの駒井善成。平川は駒井の突破力を大いに認めている。だからこそ、「ドリブルを生かすためにも全部がそれではダメ」とアドバイスを送る。ドリブルで突破するのもチャンスメークの一つ。ただ、それがすべてではないことを平川はC大阪戦のプレーで体現していた。38歳の自身にとって、若手が育つために“伝える”ことも使命であると考えながら。
(浦和担当 菊地正典)
2017/09/10 19:21