塩田仁史にとって、2日に今季限りでの現役引退を発表したFC東京・石川直宏は81年生まれの同級生であり、FC東京時代に11年間をともに戦った特別な戦友でもある。「ちょいちょい連絡も取っていましたし、その都度心境も聞いていた」という塩田は、石川が決断を下した6月下旬には連絡を受けていた。「プロとしてベストの状態で(ピッチに)立てないなら、というのはあると思います」と理解を示す一方、「寂しいですけどね、同い年が1人減ってしまうというのは」と本音もこぼした。
「歴史をずっと作ってきた選手でもあるので、ここからナオ(石川)の思っていることを後輩たちが歴史とともにつないでいってほしいと思います。東京のチームなので、難しい部分はたくさんあるんですけど、変わらない良い部分はしっかり継続していってもらいたいなと思っています。歴史を作った人がいるからクラブがある。それは大宮にも言えること。昔に頑張っていた人が歴史を作ってくれた。そういった部分は忘れずにやってほしいなと思いますし、僕も大宮でそういうふうにやりたいなと思っています」
石川が引退を報告する記者会見に臨む前日にはLINEで連絡を取ったとのこと。「本当に前向きな言葉しか交わしていないですね。『まあ、やるっしょ。進むしかないっしょ』みたいな感じで言っていましたけど、彼らしいなと思う」と笑いながら、「プレーと一緒ですね」と付け加えた。
「とにかく勢いのあるプレーヤーでしたし、それはみんなの印象に残っていると思います。はねるようにサイドを駆け上がっていって、豪快に決めるというイメージ。これからの人生も自分の信じた道を進んでいってもらいたいと思いますし、人物的にも優れているから、日本サッカー界に貢献してもらいたいなという部分はありますね。もちろんFC東京もですけど、日本サッカー界に貢献してもらいたい」
石川の人柄と苦労をよく知るからこその、労いの言葉だった。
(大宮担当 片村光博)
2017/08/07 07:05