長崎の高木琢也監督がいま高く評価している選手がいる。それが碓井鉄平だ。この日の練習後の囲み取材に練習内容について言及すると、「そういう意味ではテツ(碓井)は良いですよ」と指揮官自ら、名前を挙げて評価した。
一つのきっかけとなったのは天皇杯・山形戦でのプレーだ。碓井自身は「ボールには触れたけど最低限のプレーをしたくらい。自分としては満足っていうほどの出来ではない」と厳しい自己評価だった。しかし、高木監督は的確にボールをさばき、リズムを作った碓井を高く評価し、前節の名古屋戦ではリーグ戦で初めて起用した。長崎がいま抱える課題の一つに「ボランチを経由した展開が少ない」(高木監督)ことがあるだけに、好調な碓井にかける指揮官の期待が大きくなっている。
碓井も「練習試合だったらもっと前に行くことができていた」と山形戦を反省。今週の練習ではさばくだけでなく機を見て前へと飛び出し、チャンスに絡む場面が多くなるなど、改善を見せている。「ミーティングでそういう話(前で絡む回数が少ないこと)があったし、自分はあまりそういうところが得意ではないですけど、少しでも意識すれば今日の練習のようにできる」と本人は淡々と話したが、ここ最近の練習での動きの質の高さは外から見ていても明らかだ。
ボランチの一角に島田譲が定着している一方で、そのパートナーはけがなどの影響もあり、固定できていないのが現状。ここに碓井が定着できるかどうかは長崎にとっても後半戦に向けてのポイントになるだろう。シーズン序盤はベンチ入りもできずに苦しい日々を過ごしてきた碓井が自分自身、そして、チームを一変させる試合にできるか。大きなターニングポイントを迎える。
(長崎担当 杉山文宣)
2017/06/29 19:34