22日の天皇杯3回戦・神戸vs山形戦では、一つの再会があった。本職はボランチで、この試合では右サイドハーフを務めた神戸の三原雅俊と、その三原が“師匠”と呼ぶ山形のボランチ・松岡亮輔だ。二人は07年に神戸に加入した同期。この試合で松岡は後半から出場してPK奪取と1得点。三原は前半、素早いパス出しなど攻守に躍動し、互いに見せ場を作った。
試合後のミックスゾーンで、松岡に三原について聞くと、「あいつとはね、同期で、(年齢は三原のほうが)4つ下なんですけど、同じポジション。(三原は)僕の筋トレの方法を取り入れたり、互いに切磋琢磨してきた」と教えてくれた。
松岡の言う“筋トレ“とは、彼が阪南大在学中から実践してきた初動負荷のトレーニングのこと。三原は言う。「神戸に入って1〜2年のころ、亮くん(松岡)に(そのトレーニングに)連れて行ってもらった。だからいまは8年目かな。追い求めるのは、亮くんみたいに絡みつきながらしなやかにボールを奪うこと」。ただ、三原は激しくぶつかるプレースタイルだけに、筋力増強は欠かせない。自分なりの方法で、しなやかなに動く体作りにトライしているという。
松岡はこうも言っている。「あいつ(三原)もレンタルに行って、武者修行を繰り返して信頼を勝ち得ている。それは彼の努力の賜物だと思う」。三原は09年に金沢、13年に長崎への期限付き移籍を経験し、いま神戸の主力として2ndステージ制覇へのチャレンジを続ける。「亮くんも頑張ってる。負けられないですよね」。三原は気持ちを高ぶらせていた。
敗戦を悔しがった松岡と同じく、三原もまた、自身がPKを与えてしまったことに唇をかんでいる。束の間の再会で育まれたのは、乗り越えて行くことへの強い意志。この1試合にサッカーの魅力が存分に詰まっていた。
(神戸担当 小野慶太)
2016/09/24 10:37