8月10日にカシマスタジアムでスルガ銀行チャンピオンシップ2016が開催される。9回目の開催を迎える今年の大会は、過去2度本大会を制している鹿島と、コロンビアの古豪・インデペンディエンテ・サンタフェの対戦となった。ここでは、3度目の戴冠を目指す鹿島の、初優勝となった2012年大会を振り返りたい。
アジアでは味わえない南米の凄みを体感する
ホルヘ・サンパオリ率いるウニベルシダ・デ・チリのサッカーは、間違いなく世界の潮流を感じさせるものだった。夏のマーケットで主力選手を引き抜かれ、さらに数人の代表選手も抜け、来日したメンバーは決してベストな構成ではなかった。それにもかかわらず、コパ・リベルタドーレスでもベスト4まで進んだ南米を代表するチームの実力は伊達ではなかった。
ピッチを幅広く使った[3-4-3]は攻撃的でありつつ、守備においてもアグレッシブにプレッシャーを掛けてくる。4年経ったいまでもその記憶は色あせず、鮮やかな色彩を保ったままだ。AFCチャンピオンズリーグでは味わうことができないレベルのチームだった。
キックオフ直後から手ごわい相手であることを感じさせたが、18分にFKから岩政大樹が先制点を奪うと、27分んはレナトの左足が火を噴く。糸を引く鋭い弾道が相手ゴールに突き刺さり、相手がリズムをつかむ前に2点を先行する。40分にはオウンゴールから1点を与えてしまったが、鹿島は前半を2-1で折り返した。
だが、後半になると連戦で蓄積された疲労が鹿島の選手たちを蝕み始める。全体の運動量が落ちると、相手の勢いに対抗することができず、選手交代でも流れを変えることができない。73分にPKを与えてしまい同点に追い付かれると、防戦一方になってしまう。しかし、このとき7試合連続負けなしだった鹿島は、意思統一した戦いで追加点を許さない。サンパオリ監督は「後半になってからはわれわれが完全に支配したのですが残念ながらPK戦になってしまいました」と悔しがった。
PK戦は両チームともゴールを外さず、7人目に先攻のウニベルシダ・デ・チリが外したのに対し、鹿島の西大伍はきっちり決め手、ジョルジーニョ体制初のタイトル獲得を成し遂げた。
この年、鹿島はシーズン終盤まで残留争いに巻き込まれたが、ヤマザキナビスコ杯を制することになる。この大会で得た自信と経験は大きかった。(田中 滋)
(BLOGOLA編集部)
2016/08/05 08:00