23日朝、リオ五輪代表のオーバーエイジ選手に興梠慎三が内定したことが正式に発表された。
興梠にとっては、悩み抜いた末の決断だった。自身が抜けることによる浦和の戦力ダウンについては、周囲の心配をよそに「自分が離れてチームが勝てなくなるというのはまったく考えていなかったし、むしろチームはうまくいく」と考えている。しかし、「レッズの一員なので、本当はレッズで戦いたい」と考えていたことに加え、自らが北京五輪メンバーから落選した後に鹿島でレギュラーの座を奪った実体験から、「チームが結果を出して自分が帰ってきた時に試合に出られなくなるということをまず考えた」という。
しかし、手倉森監督から熱心に誘われたことで考えを変え、発表前日の22日、正式に誘いを受けることをクラブに伝えた。その陰には周囲の助言もあった。ペトロヴィッチ監督からは「自信がないなら行くな」と言われた一方で、「自分がやりたいようにやってこい」と決して止められることはなかった。さらに「阿部ちゃんとかが『行ってこい』と背中を押してくれたような感じがするし、チームのみんなから『俺らに任せろ』と言われた」ことも決断の大きな理由だった。
手倉森監督からは「ロシアW杯での活躍をものにできる可能性を高めてほしい」と言われた一方、初めての世界大会を「ラストチャンスだと思っている」とした興梠。だからこそ「行くからには全力で、今まで出したことないような気持ちで臨みたい」と力を込めた。
「繰り返し野性味を発揮し続けられる」(手倉森監督)ストライカーが、浦和、そして日本を代表として世界を驚かせるため、ブラジルに乗り込む。
(浦和担当 菊地正典)
2016/06/23 17:35