2012年から2015年にかけて浦和レッズを徹底取材したサッカー新聞エルゴラッソの番記者が、濃密なレポートでその軌跡を振り返った書籍『浦和レッズ 変革の四年』。さいたまのライバルである大宮アルディージャの担当記者はどのような角度から、どう読むか。
大宮が近い将来、同じシチュエーションに置かれたときにどうリアクションするのか
大宮担当として、ライバルチームである浦和の4年間を振り返った本書はとても刺激になるものでした。単に「浦和だから」というだけでなく、降格危機を経て変革を選んだ浦和の辿った道筋は、2014年の降格を機に原点回帰を目指してチームを作り上げてきた大宮に重なるところが多少なりともあるからです。チームスタイルは違いますが、攻撃力を前面に押し出し、ボールを奪われてもすぐに奪い返すという部分は、大宮が究極的に目指している部分でもあります。
悔しいことではありますが、現時点で浦和は大宮の何歩も先を行っています。本書でも触れられていますが、アジアでの戦い、ユースからの生え抜き選手の海外挑戦、そして何よりも、リーグ優勝を本気で争ったからこそ感じた歯がゆさ。良かったことも悪かったこともすべて含めて、クラブとして積み上げてきた経験には何物にも代えがたい価値があります。
大宮が近い将来、同じシチュエーションに置かれたときにどうリアクションするのか――。私はそういう視点で本書を読みました。「浦和はこんなふうに乗り越えたのか」と思うこともあれば、「大宮ならもっとうまくやれる」と思う部分もあります。だからこそ、日本トップレベルでの戦いを経験したい。そうした思いを強くさせてくれる一冊でした。
■MCタツのロスタイムTV『ミシャでタイトルを取れるのか!?名物番記者が緊急出演』
6月14日(火)19時30分~
http://live.nicovideo.jp/watch/lv266005487
(大宮担当 片村光博)
2016/06/13 18:38