「サポーターの方々が僕に歌ってくれたのが印象に残っている。一生忘れない」。ポポ選手は今季で最も印象に残っている試合を「国立での柏戦」と即答すると、「ああいったゲームをひっくり返せたことが一番印象的だった」と答えた後に、そう話しました。
28日、浦和はポポ選手と来季の契約を結ばないことを発表しました。それを受けて29日の練習後に取材に応じたポポ選手。「違う理由でインタビューされたかった」と笑うと、すぐに表情を引き締め、「残念ながらチームを離れることになってしまった。でも、サッカーには付きもの。常に僕らの理想の図になるとは限らないので、仕方ない」と心境を語りました。
来季については「今の段階では何も決まってない」としながらも、「自分でいろいろ考えてはいる。もう長いし、日本でプレーできればと思っている。まだまだプレーできるコンディションでもある」と、現役続行と日本でプレーし続けることを希望していることを明かしました。
また、同じ街の出身で親友でもあるマルシオ・リシャルデス選手とはどんな話をしたかと問われると、「まだ話をしていない。本当に最近決まったことで、まだ、お互いに触れていない」と寂しげな表情を浮かべました。29日の練習中にも普段通りに話していましたが、ようやく同じチームでプレーできることを喜んでいた2人のこと、もしかしたら再び離れることをお互いに口にできないのかもしれません。
「ここを離れることになるし、自分の頭の中では決して満足していないけど、自分にできたことは、やったつもり。絶対に努力を怠ることなく最後までやれたという気持ちはある。後悔した状態、頭を下げた状態でチームを離れるのではなく、自分にできることはやったと頭を上げて浦和を離れる」と話したポポ選手。筆者が最も印象に残っている姿は、試合はもちろん、トレーニングでもゲームからフィジカルトレーニング、坂道ダッシュまで一切手を抜かない姿です。まるで彫刻のような美しい筋肉や強烈なシュートを生むキック力は、絶え間ない努力から生まれたものです。
「天皇杯は出るつもり。自分の契約の最後までやらせてもらう。今まで自分がベストを見せてきたように、これからも最後の最後まで自分のベストを尽くしていきたい」。残された時間は限られましたが、その言葉通り、そして今まで通り、シーズンが終わるまで全力を尽くすポポ選手の姿に期待しています。そして来季も日本でプレーする姿が見られることを願っています。
(浦和担当 菊地正典)
2012/11/29 23:04