新しい風を吹かせてほしい。阪倉裕二監督の望みを叶えたのは、湘南から栃木に“出戻り”した荒堀謙次だった。
前節の札幌戦、前半10分。疾風のごとくタッチライン沿いを駆け上がり、振り抜いた右足が先制弾を生んだ。GKが手を出せない絶妙なコースを突いたが、「たまたま、っす。あそこは狙っていません。シュータリング(シュートとセンタリングの中間)ってやつっす」。荒堀本人は謙遜したが、「(荒堀と札幌の上原慎也のゴールは)どっちもスーパーだったけど、ボリ(荒堀)のほうが一枚上手だったかな」と、主将の廣瀬浩二は鮮やかなミドルを絶賛した。
勝利こそ逸したが、連敗を6で止めた。栃木再デビューでいきなりのゴール。少しは頬を緩めてもいいものだが、「勝てていないんでね。勝ち点1をどう生かすか。これからだと思う」と、荒堀の表情は硬かった。その言葉の裏には、「終盤なので追い込みをかけるために勝たないといけない」という 新戦力としての責任感と強い決意が潜んでいた。
(栃木担当 大塚秀毅)
2014/08/29 17:39