勝って終わりたかった最終節。熊本は終了間際に1点を失って愛媛に敗れ、通算成績は15勝10分17敗の勝点55。14位で5年目のシーズンを終えた。
試合後には「ありがとうセレモニー」が行われ、シーズン開幕直後に前社長の岡氏に替わって就任した池谷友良社長、今シーズンで退任が発表された高木琢也監督、そしてキャプテンの藤本主税選手があいさつ。それぞれが、1年間サポートしたスポンサーやサポーターへの感謝と、また昇格を実現できなかったことに対しておわびの言葉を述べた。
最後は、セレモニーの進行も務めた元選手であるDJ KOVA(小林弘記さん)の呼びかけで、今シーズンから始まったゴール裏のパフォーマンスを、選手、サポーターはもちろん、スポンサーさんやアカデミーの子どもたちも一緒に踊り、楽しい雰囲気で締めくくった。しかし、セレモニーで印象的だったのは高木監督のあいさつだ。目標を達成できずにチームを離れる悔しさがにじみ出ていたのと同時に、個人的に特に胸に響いたのが、「この3年間でチームに関わった55名の選手たち、その全員にも感謝したい」というフレーズだった。
今シーズンの熊本の登録選手は31名。つまりこの3シーズンの間で、今年の登録選手以外に24人の選手たちが赤いユニフォームをまとって一緒に戦ったということになる。
24人の中には、指導者への道を歩み始めた藤田俊哉氏やブラジルに帰国したエジミウソンなど既に現役を引退した選手もいる。また、カレン・ロバート(VVVフェンロ/オランダ)、宇留野純(バンコクユナイテッド/タイ)ら、活躍の舞台を海外に移した選手、西弘則(大分)や渡辺匠(松本山雅)ら他のJ2クラブに移籍した選手、そして、V・ファーレン長崎のJ2昇格に貢献した選手など、その立場は実にさまざま。中でも長崎には熊本でプレーした選手が少なくなく、JFLの試合にも熊本から応援に駆けつけていたファンもいたほどで、来シーズン行われる有明海を挟んだ一戦は、今までの九州ダービーとはまた違った雰囲気になりそう。
試合後の会見では「皆さんにも3年間お世話になりました」と述べ、「サッカー界は広いようで狭いので、また会う機会はあると思うし、(熊本は)今後も少なからず意識しながら、やらないといけないチームになる」と話した高木監督。
選手たちにレベルアップを求めるのと同じように、就任当初からメディア側がクオリティーを上げることも必要だと訴え、最後の会見でも「メディアとしての技能をもっと高めて、熊本にサッカーを根付かせてほしい」とも話した。
求められるレベルに達したかどうかと言えば、おそらく「否」でしょう。しかしながら取材を通していろいろと学ばせてもらったことは確か。この先またどこかでお会いする時には、少しでも成長を感じてもらえるよう、チーム同様に前に進んでいけたらと思います。…と、その前に、天皇杯4回戦に向け、また、しっかり取材して行かなくては…。
(熊本担当 井芹貴志)
2012/11/14 19:01