練習場にひと際大きな声が響き渡る。GK瀬口拓弥の激しいコーチングの声だ。ラインの上げ下げなどを指示するコーチングだけではなく、ときには味方を鼓舞して奮い立たせる声も積極的に発する。その瀬口は「苦しいからこそ声を出さないと」と最後方から献身的な“好プレー”について話したが、その献身的な姿勢はピッチ外でも透けて見える。
この日の練習後、ロッカールームに引き上げる途中に練習場の敷地内にゴミが落ちているのを見付けると、瀬口はそこでピタッと立ち止まり、そのゴミを拾って持ち去った。その所作はとても自然で、まさに日常的に行っていると思わせるモノだった。
讃岐にはまだクラブハウスがなく、決して練習環境も恵まれているとは言えないが、それでも使用させてもらっている施設への感謝の気持ちを何気ないアクションで見せる。細やかなことではあるが、瀬口の実直な性格を表す“好プレー”はこういうところにも表れていた。
(讃岐担当 松本隆志)
2014/05/23 16:59