スコアレスドローに終わった岐阜戦。「もっと積極的にやらないと」、「動き出しが少なかった」、「相手の嫌がるプレーをすればよかった」…試合後、愛媛の選手たちからは反省の弁ばかりがこぼれてきました。しかし、反省の弁を口にするのも、実際にプレーをするのも同じ選手たちなのです。この試合は9試合未勝利のチーム同士の対戦だっただけに、余計に是が非でも勝ちたかったはずですが、試合を見る限り、どうしても勝ちたいというプレーは見られませんでした。選手たちは、何もできなかったわけではありません。試合を通じてイニシアチブを握り、明らかに主導権は愛媛が持っていたのですから、何もできなどころか、何でもできる可能性を十分に持っていたはずです。しかし、選手たちは岐阜が低い位置でブロックを作って守備的に戦ったことを無得点の言い訳にしたかのような消極的かつ緩慢なプレーに終始。後半ロスタイムに入っても相変わらず横パスを繰り返した場面では、スタンドから罵声、あきれた声、ため息が同時に聞かれました。どんなにサッカーに知らない人間でも、あの場面では何をしなければいけなかったかは分かっていたでしょう。
試合中、最後方からチームメイトを鼓舞し続けたGK秋元が口にしたのはプレー面での反省ではありませんでした。「自分たちにとっては、引き分けは負けと同じ」という状況下にありながらも、「自分たちの順位を分かっていない選手がいた」とチームメイトの勝利に向かって戦う気持ちを疑っていました。残念ながら私もこの意見には同調せざるを得ませんでした。気持ちだけで試合に勝てるとは思いませんが、どんな優位な立場にあったとしても気持ちがなければ試合に勝つことはできないのですから。
(愛媛担当 松本隆志)
2012/08/29 14:54