ルーズボールに食らいつくのは自分が先か。相手が先か。捨て身のディフェンスに出た昌子源は、結果的に染野唯月の足が右のスネに当たった後、ピッチに突っ伏した。前節・東京V戦の44分。山見大登のドリブル突破を谷晃生が止められず、結果的にゴールはガラ空きとなったが、昌子ら最終ラインの3選手がカバーに入って難を逃れた。
「どのチームでもやることだと思いますよ」
昌子はそう話したが、「失点にアレルギー反応を示す」(黒田監督)“黒田ゼルビア”を象徴するワンシーンだった。
2試合連続クリーンシートで2位・G大阪との勝点差は「5」。今節が終わると、J1は中断期間に入るが、首位でのインターバル突入が確定した。
J1初昇格・J1初優勝の“金字塔”へ。チームは順調に歩みを進めるが、まだまだ予断を許さない。少なからずプレッシャーがのし掛かる中でも、経験豊富な昌子は、1チームしか味わえない追われる立場を「楽しんだほうがいい」と強調してきた。
今節は監督交代を決断した直後の横浜FMと国立で対戦する。ジョン ハッチンソンヘッドコーチが指揮を執る“暫定政権”の実力は未知数だが、昌子にとっては、何かと縁のある対戦と言えそうだ。
「気にしていない」と言いつつも、前回対戦では0-1からセットプレーで同点に追いつくゴールを決めた。また4月の国立での神戸戦は、最後まで出場機会がなく、試合終了の笛をベンチで聞いている。
過去を振り返っても、国立での試合はピッチに立つ時間が少ない。例えば昨季の鹿島では名古屋戦でベンチを温め、神戸戦は後半開始からの途中出場で45分間プレーしたに過ぎない。「まだどうなるか分からない」と不測の事態を覚悟しつつも、今回の横浜FM戦はスタートから国立のピッチに立てるかもしれない。またチームとしても、国立でのホームゲームは1分1敗と勝利なし。昌子は「いい準備をして勝ちたい」と言葉に力を込めた。
18年のロシアW杯でベスト16に入った元日本代表CBのことを分かった気になっていても、あらためて定点観測をしてみると、新たな発見もある。例えば自分が後手に回れば、失点のリスクが高まるマッチアップの際、昌子はフーと大きく息を吐き、屈強な相手FWに挑んでいく印象が強い。
「無意識で口が膨らむんです。力を入れるときなんでしょうね。必死なときに顔までは作れないですよ(笑)」(昌子)
ゴールは絶対に割らせない。その意思が、口元の自然現象に表れているのかもしれない。
【2024ホームゲーム情報】
明治安田J1リーグ第24節
7月20日(土)18:00キックオフ
FC町田ゼルビア vs 横浜F・マリノス
国立競技場
https://zelvia.jp/kokuritsu20240720/
(町田担当 郡司聡)
2024/07/20 04:26