目の覚めるような一発だった。右足から放たれたボールはGK高木義成の守るゴールマウスを見事に射貫く。9日の紅白戦で主力組に抜擢され、スーパーミドルを叩き込んだのは中村直志だった。往年の豪快ミドルを思い起こさせるような号砲にも本人は「ね、良かったね」とだけ言い、「練習と試合は全然違うから」と冷静さを失わなかったが、好調を示すには十分過ぎるプレーぶりだった。そんな中村は「足がしっくりしてきた」と、わずかながらに手ごたえも感じている。昨年の手術から足の痛みもなくなってきており、「良い準備ができている」と先発出場への意欲を見せる。もっとも、ゴールだけに強いこだわりを示す選手ではないが、それも自身の現在地を図るバロメーターの一つ。「チャンスがあれば打っていきたい」。サポーターは、ミスターグランパスの一撃を待っている。
(名古屋担当 村本裕太)
2013/04/09 21:06