退任する高木琢也監督がラストゲームへの心境を語った。
19日に今季限りでの退任が発表されている高木監督にとって、次節は6年間、指揮を執ってきた長崎でのラストゲーム。その心境を問われると「最後のゲームという感覚は自分の中ではまだあまりない」と普段どおりの口調で答えた。
しかし、退任発表以降、練習場に訪れるサポーターの数は日に日に増している。もちろん、そのお目当ては高木監督だ。どの選手よりも長くファンサービスエリアで時間をかけて、一人ひとりに丁寧に対応している。「逆に、本当にチームを離れるんだなと感じたりします」とやり取りの中で徐々に退任を実感している様子だった。そこで掛けられる感謝の言葉の一つひとつが高木監督の心に優しく響いている。
「普段はこられない方でもきていただいて、温かい声、簡単に言えば、『ありがとうございました』や『お疲れ様でした』という声をいただけるのは本当にありがたいことだなと思います。この世界でこういう仕事をしていくとなかなか、そういう言葉をかけられることはそんなに多くないと思います。昇格はしましたけど、降格という最悪の事態にしながらも、そういう言葉をいただける。それは短期ではなく、このチームに関わってからのことを考えていただけたんだなという意味では自分自身にも満足感はあります。少しもやもやしたものがあったとしても、そういった言葉のおかげで(気持ちが)スッとできて、また新しいチャレンジをやっていけるのかなと。本当にいい言葉をいただいています」
結果が出なければ罵声を浴びせられることもある厳しい世界。降格という現実がありながら、高木監督に届けられるのは感謝の言葉ばかり。その光景が功績の大きさを物語っていた。
写真:杉山文宣
(長崎担当 杉山文宣)
2018/11/29 17:38