某サッカー漫画キャラクターのモデルになったとの噂もあり、同期入団の山口和樹から「対戦したことはないけど、学生のときから知っていました。天馬は有名だったから」と、一目置かれていた模様の湘南・松田天馬。実際に今季は開幕2試合で1ゴール1アシストと、序盤は確かな手ごたえと結果を得ていた。
しかし、学生時代とのプレースタイルや役割の違いからか、徐々に調子を落としていき、先発に入れない日々が続いた。ようやく長い時間の出番を得た天皇杯では監督に名指しで批判された。プレー面を見ても、ボールをもったときの判断の遅さ、迷いが目立ち、安全なプレーを選択して怖さのない存在に終始していた。曺貴裁監督もそれを見抜き、取材陣の前で「迷いがあるならプレーすべきではないし、その整理は自分でつけなければいけない」と厳しく指摘したことがある。
いつもは取材をしていても冷静に話をする松田だが、この日は少し苦笑いをしながら「(試合に出ていない間は)悩みました」と一言。東福岡高時代から常にレギュラーとして出場してきた松田にとっては、この挫折は初めての経験だったかもしれない。
「自分がもっている技術は生かしながらも、チームでやるべきことがある。自分はこのチームの中でどういう存在なのかは考えました。明確に『こういうプレーをすべき』と決めたわけではないですけど、攻撃面では違いを出していく必要があります」
ここ最近は調子を取り戻し、前へのアグレッシブな姿勢が復活。第21節・横浜FM戦では中澤佑二を吹っ飛ばしてボールを奪取する場面もあった。天皇杯4回戦・川崎戦Fでは先発に復帰し、監督に指名されてキャプテンマークを巻いた。
「積極的にプレーできる部分は増えてきたし、ランニングでどこに走るべきかという判断もできるようになってきた。自分の特徴を生かすために、足元ばかりではなく裏に飛び出すことも必要です。やっぱり以前は無難なプレーでも『ミスをしてないからいいや』を満足している部分がありました。でもこのチームにきてJ1で戦う以上は、前を向く、危険なパスを出す、ドリブルで仕掛けることで違いを出してこそ、自分が成長できます」
それでも満足はせず、「もう一つ突き抜けて、得点に直接関われる選手になりたい。シュートを打てていないので、どうすれば打てるのか、決められるのかは常に考えます」と話してくれた。
湘南は現在リーグ3連敗中。チャンスを作りながらも決めきれない試合が続いている。負傷者も抱える中、“いい内容”で終わらせず結果を出していくためにも、松田の奮起が必要になるだろう。
(湘南担当 中村僚)
2018/08/25 14:09