『満ち足りる』。これはもちろん幸せなことなのだろう。では、『物足りない』は?
福岡の石津大介は自身がゴールを挙げて大勝を収めたJ2第15節の金沢戦を最後に先発から遠ざかっている。「球際の部分を含めて、守備面での働きが不十分なこと」がその理由だと自己分析する石津は先発の座を失ったことを不満に思いしばらく悩んでいた。だが、守備のことを意識する余りに個性の発揮が不十分に終わるのであれば先発の座は奪い返せないだろう。ならば、限られた時間でも自らが持つ武器の威力を存分に発揮することに集中することから始めようと、気持ちを切り替えた様子だった。
それが第19節・名古屋戦での2ゴールと前節・群馬戦での勝ち越しゴールにつながったと言えるかもしれない。「ファーストタッチでゴールを奪った記憶はないですね」と、交代直後に決めた今季5ゴール目が群馬戦での勝利を引き寄せた事実を素直に喜んだものの、「その後、ウェリ(ウェリントン)がせっかくつないでくれた絶好機を逃してしまったことの方が心に残る」と、すぐに悔しそうな表情を見せた。
ハッピーをつかむための原動力になると考えれば『物足りない』も決して悪くはない。最近の石津はそんなことを思わせる。さて、群馬戦で感じた不満と課題は、石津に何をもたらすのだろうか。
写真:島田 徹
(福岡担当 島田徹)
2017/07/19 17:45