19日、浦和は田中達也選手と来季の契約を結ばないことを発表しました。田中選手の声や原稿は21日発売の本紙でご覧いただきたいですが、ここでは田中選手に強い憧れを抱いていた、1人の選手の声を紹介します。それは原口元気選手です。
いつもは報道陣の前でも堂々と振る舞う原口選手。しかし、以前から知っていた話だったとはいえ、正式に発表された翌日、そして報道陣の前でそのことを初めて話すからか、この日の原口選手の表情は物憂げでした。
原口選手は田中選手について、「憧れだった。ジュニアユースに入ってから、日本人のストライカーと言えば達也さんと永井さん(現横浜FC)。あの2人が憧れだったし、2人に追いつきたい、あの2人みたいになりたいと思っていた。達也さんはスパイクを部屋に飾ってたぐらい」と、いかに憧れの存在だったかと話しました。
また、田中選手とのエピソードについては、「達也さんが試合に出られなくて、俺が出ているのに、『元気がシュートを外して喜んでるような選手にはなりたくなかった』と言ってくれた。その言葉がうれしかった」と話す一方、「2人とも人見知りだし、過去3年間はあまり話せなかった。今年になってグッと距離が縮まって、ご飯にも誘ってくれたりした。やっと仲良くなれたのに」と寂しそうな様子も覗かせました。
しかし、「達也さんがいなくなる分、『俺がやらなきゃいけない』という気持ちも強くなった。あとちょっとだけど、まだ一緒にできる。1月1日まで行けたら。それが一番」と力を込めました。リーグで3位以内を確保して来季のACL出場権を獲得するのはもちろんのこと、天皇杯でも決勝に進出する。田中選手のためにも、原口選手がその原動力になってくれることを期待します。
(浦和担当 菊地正典)
2012/11/20 19:02