上の発言は、松本山雅戦後の記者会見で、北九州の三浦監督が発した言葉です。その時の会場は、ご想像の通り時間が止まった様に凍りつきました。私も頭が真っ白になり、考えていた質問も吹っ飛んでしまい、それと同時に、まるであきらめたような指揮官のせりふに、悲しみと怒りを覚えました。
本城での仕事を終え、帰りの道中もずっとその言葉の意味を考えていました。少し冷静さを取り戻した私が導き出した答えは、この言葉は三浦監督の各方面への挑戦状(少し過激ですが)なんじゃないのかなと、思える様になりました。クラブライセンス問題でJ1への道が絶たれ、それでも6位以内を目指すと公言して来ましたが、昨日の敗戦で3連敗となり、勝点は52のまま。6位との勝点差は、残り5試合で8と非常に厳しいものとなり、勝ち続けても「他力本願」でしか入れない現状です。この「他力本願」が、監督にとって一番嫌なんだと思います。
また、クラブや北九州市への本気度を感じさせてほしいと、あの過激な発言をしたのではないでしょうか?
もちろん私が知らない所では、各方面が尽力を尽くしているとは思いますが、スピードを感じないのも事実です。
松本戦の前に、ギラヴァンツ北九州の横手社長が解決策として「今の観客数を倍にする」とだけ話されていましたが、限られた短い時間だったのでいた仕方ないですが、具体的な話がなかったのは残念です。
チームは上にも上がれず、かと言って降格の危機にある訳でもなく、中位に位置する現状では、マスコミの関心度も薄れてしまうのは仕方がない所ですが、そんな地元マスコミ(私も含め)に対しても、監督は本気度を試しているのだと思います。地元のマスコミが、地元のチームを取り上げなくて、どうするのでしょうか? 福岡のメディアでは、ソフトバンクホークス、アビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州の順になっていて、今季一番面白い試合をしているにも関わらず、北九州は取り上げられてもらえません。これでは、なかなか自分が住む街に、プロのチームがあると実感する事はないでしょう。
長々と書きましたが、監督の真意を知るには、会見で最後に述べた言葉が一番分かると思います。「具体的な数字という事であったり、何位以内であったり、目先の勝利という事よりも、チームの成長と選手の成長をしっかり見据えて、しっかりしたトレーニングから今まで突き止めてきたサッカー、積み重ねてきた、構築してきたサッカーを、より大きく精度を高くしていければと思っています」
本当に、チームや北九州を見捨てた人物が、する発言だとは思えません。
私は北九州を担当する様になって、たかだか6カ月弱。監督に一番近い人間でもありませんが、数多く監督と接しています。三浦監督はどんな質問でも、熟考し(ものすごく速いスピードで)、言葉を選んで答えられる人物です。記者にも、勉強する様に言われる方ですが、監督はもっと勉強をしているでしょう。マスコミの力も熟知している監督。あの発言は、多くの方の目に映る事でしょう。
私は負けたくありません。北九州の公式戦終了まで約1カ月となりましたが、三浦監督の本気度に負けない様に、今まで以上に取材を続けたいと思います。
(北九州担当 坂本真)
2012/10/10 14:39