そんな中、水沼副社長からは「“育成型クラブ”に方針転換して長い目で見たチーム作りをする」という言葉があった。栃木はこれまで、有力なブラジル人選手や完成された中堅・ベテランを補強することにより、駆け足でJ1を目指してきた。その方針をあらため、若い選手たちを育てながら地道に強化していく方向へと舵を切るということになる。
一言に“育成型クラブ”と言っても、大きく分けて育成組織と連動するタイプと新卒選手を獲得して育てるタイプの2種類(+両者のハイブリッド)がある。中津社長はモデルケースとなり得るクラブとして水戸、松本、岡山の3クラブの名を挙げたことから、現時点では後者の方向を考えているようだ。
とはいえ、上野優作監督率いる栃木ユースは現在開催中のJユースカップで決勝トーナメント進出を果たした(決勝トーナメント1回戦・清水ユース戦で敗退)ように、着実に実力を付けてきている。「(トップチームに)地元出身選手が一人(湯澤洋介)しかいない」(中津社長)ということに対する危機感はクラブにもあり、ユースとの連動による強化も検討されてしかるべきだろう。
どのような形になるにせよ、来季以降の栃木トップチームが今までとは異なるコンセプトのもとに編成されていくのは間違いない。今後の動きを注視したい。
栃木の選手名鑑(クラブ公式サイト)
(栃木担当 片村光博)
2013/11/05 20:32