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　日本代表は10日、翌日に控えたW杯アジア最終予選・豪州戦に向けた公式練習を、試合会場であるメルボルンのドックランズ・スタジアム（エティハド・スタジアム）で行った。
　練習に先駆けて行われた公式記者会見に登壇したヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、現在グループ首位を走る豪州について、「本当に良いチーム。特にパワーとオーガナイズ、規律がある」と警戒した。豪州は以前までの高さや強さを生かしたダイナミックなサッカーから、パスをつないで相手を崩す攻撃スタイルに変わりつつある。また、ホームゲームでは前線から積極的にプレッシングを掛けてくることが多く、11日も日本は相手の激しいプレスをいかにかわしていけるかがカギを握る。
　主将の長谷部誠は豪州の印象についてこう語る。
「2、3年前までのオーストラリアとは違う。ボールをつないでくるし、もともとスピードとテクニックがある選手たちがフットボールをやってくる（ボールをしっかりつなぐという意味）ようになったと思う。個人的には大きい選手にロングボールを当ててくるほうがイヤ。ただ、つなぐサッカーの質も高くなっている。フィジカルに関しては向こうに分があって、テクニックは日本に分がある」
　一方、ディフェンスラインで豪州の攻撃をはね返す役割の吉田麻也は、依然として相手の高さへの警戒心を強めている。
「オーストラリアはボールをつなぐ攻撃の形が増えたかもしれないけど、ただ得点シーンなんかを見ても、セットプレーとかサイドからのクロスという形が多い。そこの強さはいまだ健在かなと思います。さらに2列目からも速い選手が飛び出してくる。今までの予選の試合で一番難しい相手であるのは間違いない」
　豪州戦となると、どうしても話題に上がるティム・ケイヒルの存在。言わずと知れた、“日本キラー”のストライカーだが、当然CBの吉田にとっても無視できない存在だ。
「スタメンでは出てこないでしょうけど、残り15分ぐらいからは必ず出てくると思う。もう彼には得点させたくないですし、彼がいかに危険な選手かはみんな理解していると思う。まずは良いクロスを上げさせないこと。あとはペナルティーエリア内での戦いも大事になってきます」
　そして、攻撃面ではハリルホジッチ監督が目指す縦に速い攻めだけでなく、試合状況に応じて落ち着いてパスを回すなど堅実な試合運びも必要になってくる。
　その点について、長谷部も自らの意見を述べた。
「バランスが大事だと思います。相手に攻められる時間もあるだろうから、そこではカウンターも有効な手段の一つ。一方でポゼッションをして落ち着く時間も必要かなとは思います。その点はチームの中でも話し合っているところです」
　厳しいアウェイ戦だが、日本にとっては勝利、勝ち点3獲得が必要な試合。負ければ監督の解任問題も再燃することが確実だ。指揮官も練習前の円陣で、選手たちに「この試合がW杯に行けるか行けないかを左右する。それぐらいの気持ちで戦わないといけない」と伝えた。自ずと熱のこもった試合になることは必至だが、最後に吉田がチームが持つべき姿勢をこう代弁した。
「熱くなることはもちろん大事だけど、頭はクールに。アウェイでの試合ということも忘れずに、クールに、クールにやっていきたい」
　冷静な戦い。相手のペースに引き込まれずに、日本が自分たちの狙いどおりの試合を展開することこそ、最も勝利に近付ける手段である。
文：西川結城（エル・ゴラッソ日本代表担当）