時間は刻一刻と過ぎる。カギはどこに行ってしまったのか――。誰もが表情に焦りの色を浮かべ、絶望の淵に立たされつつあった瞬間、事態は意外な方向に転がり始めた。
なんと、カギはトレーニング場のゴミ箱の中から発見されたのだった。状況から考えると、どうやらオレンジを食べた際にその皮と一緒に自身で捨ててしまったようだ。つまり、どこかに落としたと早合点したエルシオコーチの一人相撲だったのである。――こうして『エルシオコーチ、車のカギ紛失(未遂)事件』は幕を閉じた。
これだけならば誰一人として得をしない話だったのだが、この件について実は一人だけ“勝ち組”が存在したことを最後に触れておかねばなるまい。
先述の広報である。この件を「良いネタが見つかった」とほくそ笑み、しっかり写真に押さえた上でクラブ公式のFacebookページで発表。数多くの「いいね!」を稼ぎ出すことに成功したのだった。
この抜け目のなさはさすがの一言。ノートパソコンの傍らに置かれていた『売り上げが伸びるfacebook集客・販促』なる本が、この日ほど役立ったことはないだろう。
(松本担当 多岐太宿)
2014/04/11 20:45