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　14日のウルグアイ代表戦の日本代表メンバーに選ばれるなど名実ともに柏のエースに成長した工藤壮人。初のAFCチャンピオンズリーグ制覇に向け、その意気込みを聞いた。

聞き手:郡司 聡 取材日:8月8日
Photo: Atsushi Tokumaru

今季は昨季の経験が生かされている

――8月21日の準々決勝第1戦・アルシャバブ（サウジアラビア）戦からまたACLの戦いが再開します。いまの心境は？

「ラウンド16から少し期間が空いて、その期間がACLに向けての良い充電期間になりました。
　このインターバルの間にけが人が戻ってきましたし、チームにとってもプラスになることのほうが多かったですからね。アジアの頂点に向けてギアを上げて、飛ばしていくためには良い時間でした。
　第1戦のホームでの試合に向けて、日本全体で後押ししてほしいですし、選手たちはさまざまなプレッシャーを受けながらも結果を残したいという気持ちが高ぶっています」

――『柏から世界へ』というフレーズでクラブも試合に向けて盛り上げていますよね。

「クラブ全体がベスト8に向けて、試合を盛り上げてくれていることに感謝しています。
　最高のプレーで第1戦を勝たないといけないと感じています。期待してもらっていいですし、周囲からそういう期待をかけてもらってレイソルは強くなってきました。アジアで戦える喜びを感じながら頂点を目指して戦っていきたい。
　ファン感謝デーやクラブの公式ホームページを見ても、『柏から世界へ』というフレーズの入った横断幕が、合言葉のように使われていますし、サポーターの期待を感じます。レイソルというクラブを、柏という街から発信できるのはとても良いことです。たくさんの方にレイソルを知ってもらうためにも、内容よりも結果を出し続けていきたいですね。
　僕自身レイソルに誇りを持っていますし、柏に育ててもらいました。『柏から世界へ』、とても良いフレーズですし、それを見ると気持ちが自然と高ぶってきます」

――今季ここまでのACLの戦いを振り返ってください。

「今季のACLはアウェイで全勝です。それは昨季の経験や反省が生かされていると思います。ホームでも取りこぼすことはないですし、アジアで勝ち切る強さを昨季の経験から学びました。
　特にアウェイの水原三星ブルーウィングス（韓国）戦などは、（PKを4回取られるなど）いろいろなアクシデントがある中でどんな判定になっても動じず、精神的な強さが発揮された試合でした。

　個人的には代表で海外に行く機会も、クラブとして海外で試合をする経験もあまりなかったですから、いろいろなアクシデントや食事のストレスで戸惑ったこともありました。クラブもそうした昨季の反省を踏まえて、クラブスタッフの事前準備も気を配っていただいています。何日も前に現地に入ってコンディションを整えて、食事の調整もしていただいています。クラブ総出で勝ちたいという気持ちが結果に表れていると思います。
　ラウンド16の全北現代モータース（韓国）戦は、昨季のラウンド16で負けた苦い思い出もありますし、しかも韓国のクラブ（蔚山現代）に負けていますからモチベーションも高かったです。
　第1戦のアウェイでは2-0で勝ちましたが、押し込まれる時間帯も長く、耐える時間帯が続きました。でもチームは絶対に失点をしてはいけないという中で、流れを引き寄せる戦い方を身に付けたと思います」

――工藤選手自身、昨季のACLでゴールはなく、ACL初得点はグループステージ第3節の水原戦まで時間がかかりました。

「水原戦で初ゴールを決められた理由は、試合前日の公式会見で『まだACLでゴールがありませんが？』と聞かれたからだと思います（笑）。

　それは冗談として、僕自身今季のACLに懸ける思いは強かったですし、ゴールで貢献しないといけないのにそれができていませんでした。昨季の天皇杯を勝ち獲って、再びそのチャンスを得られたことで、僕がチームの中心になってやらないといけないという気持ちを強く持ちました。水原戦でのアジア初ゴールは大きかったです。Jリーグとは違ったゴールへの喜びがありました。

　ACLで戦うDFとJリーグのDFはやっぱり違います。Jリーグの場合はオフサイドトラップをしかけてくるなど組織的です。誰か一人がファーストDFとしてつぶしに行けば、ほかの選手がカバーをするなど徹底しています。でもアジアのディフェンスは、ファーストDFだけでつぶしに来ることも多いです。体格勝負のチームが多いです。中東のDFと対戦するのは、楽しみという気持ちが一番強い。
　僕は初めての対戦相手のときは、キックオフの瞬間からマッチアップする選手の特長や、得意なこと、苦手なことを見るようにしています。それをいち早く察知して上回ることを意識しています。相手の良さを出させないように、例えば前につぶしに来るDFならば、どんどん裏を狙って崩していきたいと思います」

柏だけでなくJリーグを背負って戦う

――180分トータルで準決勝進出チームが決まるレギュレーションで、第1戦がホームの場合、勝ち抜くためのキーポイントは？

「まずホームでの第1戦は、より点差が開いたスコアで勝つことが大きいと思います。でも前がかりになり過ぎてカウンターで失点を食らってはいけません。失点をゼロで抑えて勝つことが一番で、アウェイゴールを奪われるのは一番怖いこと。この試合に臨む上で、どの時間帯にはどういうプレーをするべきなのか、チームで意思統一していないと戦えません。そこは選手たちと突き詰めていきたいですね。
　全北とのラウンド16も厳しい試合になることは分かっていましたし、チームが硬くなることが想定される中で、開始3分という早い時間帯に点を取れたことは個人としてもチームとしても大きかったですね。
　その後、アウェイゴールを1点取っているという気持ちの余裕が生まれたことも大きかったと思います。アルシャバブとの第1戦でも早い時間帯に点を取って自分たちのペースに持ってこられれば、戦える自信はあります。

　今季のレイソルは先制点を取れないと、なかなか自分たちのペースに持ってこられていません。ですから先にゴールを奪って自分たちが主導権を握れる試合にしないといけない。そのためにはサポーターの後押しが必要ですし、平日の試合だと仕事もあるので難しいと思いますが、たとえ試合のスタートから見られなくても、途中からでもスタジアムに来てほしいです。
　選手たちはサポーターの応援があれば、気持ちも入りますし、スタジアムの端が、空席が目立つと悲しい気持ちになります（苦笑）。アウェイ側はさすがに仕方がないですが、ホーム側だけでも埋めてもらえると選手たちの力になりますので。キックオフ前に入場するときに、バックスタンドとゴール裏を見て、端が空席だと自分たち選手がもっと盛り上げないといけないなと感じています。

　まだ毎試合満員になるほどチームの実力が伴っていないですし、もっとサポーターの数を広げられる魅力のある試合をしないといけないと常に思っています」

――柏はベスト8まで勝ち上がっている唯一の日本勢です。柏がJリーグを背負って戦っているという意識はありますか？

「僕個人はそう思っています。　ほかのチームが勝ち上がって日本勢同士で戦いたかったですが、それはもう無理ですから、ほかのクラブのサポーターも、柏がアジアを勝ち上がることを応援してほしいと思っています。
　ラウンド16でも、柏だけでなくJリーグを背負って戦っているという気持ちで臨んでいました」

――あらためて、アジアNo.1への意気込みを。

「一昨年は開催国枠でクラブW杯に出場しましたが、またクラブW杯に出場するためにはこれ以上ない位置まで来ています。この状況をサポーターの方に後押ししてもらいたいですし、来年や再来年ではなく、選手たちは今季のACL制覇に力を入れて戦っています。

　また、ほかのチームのサポーターにもレイソルを応援してほしいと思いますね。もちろん、先ばかりを見てもダメですし、1試合1試合目の前の試合を勝ち抜くことが一番重要だと思います。
　僕自身、まだ決勝に行く姿も、準決勝に行く姿も、見えていません。まずは目の前のアルシャバブ相手に勝ち切る、目の前の試合を勝っていくという気持ちが強いです。

　もちろん、Jリーグの試合で気合が入っていないわけではありませんが、今季のACLの試合をするときのみんなの眼は昨季と違います。選手もサポーターも違った熱がありますし、楽しみながらも結果を求めていきたいです。
　ここからは紙一重の戦いが待っています。これまで以上に練習から試合に集中して戦っていきたいですね。勝ち上がっていくためにも、僕がゴールを決めないと。サポーターの方々が駅でビラ配りをしたり、柏まつりで盛り上げてもらったという強い気持ちは僕たちにも伝わってきています。それに応えるために選手たちも日頃の練習から全力で戦っています。サポーターの方々とチームが一丸となってACLを勝ち獲りたいとみんなが思っています。

　熱い応援で後押しをしてもらえれば、レイソルは絶対に優勝できるチーム。アジアの頂点を獲って一緒に喜びを分かち合いたいですね」

ACL準々決勝第1戦
8/21(水)19:00
柏レイソル × アルシャバブ
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