全員で自動昇格への望みをつないだ一戦でした。前節のふがいない試合を猛省し、気を引き締めて臨んだ福岡戦。25日に行われた決起集会ではさらなる団結を誓い、一丸となって戦うことを再確認しました。
この一戦に向けてしっかり準備していたことがよく分かる展開でした。両サイドハーフがカットインしてくる福岡に対し、中から外への基本に忠実な組織的守備で対応しつつ、高い位置を取る相手両サイドバックの裏を突いてサイドから攻撃。福岡の起点をしっかりつぶすことで前線を孤立させ、個の能力にたけた攻撃陣を抑える。どの選手も戦う気持ちをもって組織での役割を全うし、自分の良さが出せていた試合だったのではないでしょうか。まさにシステムがハマったという感じ。
特に12試合振りの先発を果たした永芳卓磨選手のフリーランや、福岡の攻撃の起点である鈴木惇選手を丁寧にマークして仕事をさせなかった丸谷拓也選手の仕事は、派手さはないけれどよく効いていたと思います。おかげで宮沢正史選手がフリーになり、彼らしさを存分に発揮して、中盤の底から自在にゲームを組み立ててくれました。ボランチの相方やシステムが変わるたびに“チーム戦術遂行のために必要なプレー”を選択しつづけてきたキャプテンの、今季一番の躍動。守備における「読みの早いカバーリング」も素晴らしかったですね。大分が目指してきた“大分らしさ”が存分に体現された試合でした。
今節の結果を受けて、2位・京都との勝点差は3に。3位・湘南との差は2です。十分に自動昇格の可能性を残す、貴重な勝利。
だからこそ、本紙マッチレポートは少し辛口で書きました。選手の採点寸評も厳しめです。なぜなら昇格するためには、まだまだ強くなければならないと思うから。混戦のプレッシャーに負けず、前節から見事に立て直して理想的な内容で勝点3をものにしたチームに、これ以上を望むのは欲張り過ぎなのかもしれません。でも、あの内容ならば、複数得点しておきたかった。勝点で並ぶ5位・横浜FCは草津から3得点を挙げ、得失点差を+15に伸ばしています。これだけの接戦、あとから地味に得失点差に泣かないようにしたいもの。
栄光を勝ち取るには“容赦なさ”が必要です。あのミスがなければ、あのセカンドボールが拾えていれば、あのシュートが決まっていれば。ひとつひとつの精度と強度を突き詰めて、大分はもっと強くなれる。他を圧倒する輝きを見せて、このチームで、J1昇格を果たしてください。
一方の福岡。チームとしては今ひとつの内容だったとはいえ、やはり個々の力は脅威でした。残念ながら今季2試合を残し前田監督解任となりましたが、同じ九州のチームとしてエールを送らずにはいられません。これからも悔いのない戦いで、九州のサッカーを盛りあげていきたいですね。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/10/31 13:21